2022.10.1 オンラインフェス2022"RAINBOW"②

オンラインフェス2022 "RAINBOW"
記念ブログ小説『虹架人閃』第一話
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2022.10.1 オンラインフェス2022 "RAINBOW"① - ミッドアウト放送後記ブログ

 

 

 

 

 

第二話『嵐前』

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海沿いのツリーハウスから話し声が聞こえる

時に笑いが起き穏やかに

時に熱を帯びた声色で

会話はなされているように聞こえる

 

声の主たちは

楠元、木村、ごうりん、チャーマス

スタッフ、インターン生2名

ミッドアウト通算300回記念イベント組織委員会改め、"オンラインフェス2022実行委員会"の面々であった。

 

 

 

無茶を言うなよ。

 

ごうりんが窓の方を見る。

 

やってみないとわからないだろ

 

チャーマスが言い返す。

 

 

2回目のオンラインをやる。

そう決まってから2週間ほどが経っただろうか。

 

前回が本当に最高だった、それを更に

上回るイベントが自分たちにできるのか?

 

 

立ち上げ当初は強気だった面々も

思った以上のハードルに思わず弱気になってしまっていた。

 

それだけ、前回のオンラインフェスは

形、企画、ゲスト、メッセージ、全てにおいて

最高だったと言っていい。

 

具体的な案も出ないまま、皆焦っていた。

 

 

ゲスト候補を思いつくままに上げていく。

 

ZIKUさん、中村千尋さん、大田誠師さん

 

前回のフェスにも出てもらった

通称"フレンズ"たちの名前もそこにはあった。

 

だがゲスト選びは難航。

 

フレンズ達への信頼は強い。

まだオファーしていないがきっといいね、と

賛同してくれる。絆は強かった。

 

しかし、他の人たちは違う。

フレンズ達ほど繋がりのない人々が

俺たちのラジオに来てくれるのか?

 

皆、弱気になっていたのかもしれない。

 

あまりに弱気な発言が飛び交うので

業を煮やした男が立ち上がり叫んだ

 

 

できっこないをやらなくちゃいかんですよ

 

 

FMさつませんだい、楠元であった。

 

 

彼がしきりに言い張る

FMさつませんだいの社訓

それがサンボマスターの名曲タイトル

"できっこないをやらなくちゃ"

だった。

社訓といいつつ、その文字がFMさつませんだいに飾ってあったりする痕跡は一切ないが

彼はそれを強く言い張る。

 

 

楠元はそう言い残し

その場を去った。

 

 

部屋を沈黙が包む。

ツリーハウス横の海の波の音が

虚しくなり続けるだけだった。

 

 

重い空気を、チャーマスが切り裂くように言った

 

楠元さんの言う通りだ

出てくれそう、出てくれなそうと

そんなことばっかり言ってちゃダメだな

 

 

 

ああ、

 

ごうりんが続ける

 

 

話したい人を、呼びたい人を呼ぼう

 

そこから堰を切ったように

名前が上がっていく

 

アートビルディング前田晃希

山本じゅんや

FM鹿児島、前畠俊二

 

初絡み、しかも前畠さんに至っては

他局、大物局の人気ラジオパーソナリティ

 

 

強気な人選。皆の胸は高まっていた。

 

あと1人くらい呼びたいな

だが誰がいい?

 

 

この最後の1人が一向に決まらない。

 

 

私が出ましょう

 

 

 

この声は?!

さっき出て行った楠元さんが

帰ってきてくれた!

皆がそう思い入口の方を見た。

しかし皆の予想に反し立っていたのは

見たことのない覆面の男だった

 

 

あの、あなたは?

 

 

マスクド・FM・さつませんだいだ

 

 

 

男の誰なのか。

しかし不思議と誰もそこには触れず

反対意見も出ず、7人目のゲストとして

マスクドFMさつませんだいさんが決まった。

 

 

 

なぜ、見ず知らずのマスクマンを大事なフェスのゲストに決定したんですか?

 

後のインタビューで総指揮官の木村はこう答えている

 

 

「いい目をしていたから」

 

 

 

 

 

 

混迷の時代である。

コロナ禍をまだ乗り越えたとまではいかない世の中で

さらには戦争、円安、歴史上最強クラスの台風、桜島の噴火

今年だけでも様々なことが起きている。

本当に、世界は良くなっていくのか??

 

コロナ禍以降、世界は以前のように輝きを取り戻さないんじゃないか?

そんなムードすら漂っている2022年。

 

 

暗雲も、雨雲もきっと晴れる

大丈夫。

 

そう信じる男達は

オンラインフェスのタイトルを

 

RAINBOW

 

と名付けた。

 

 

物事というのは決まってからは早いものだ。

 

メインビジュアルが

そしてフェスのタイトルが

出演者が決まり

 

ここからはパンフレット作り

グッズ作り

当日のタイムテーブル作り

各出演者へのオファーや連絡

 

全てのことが回り始める。

 

全ては順調に思えた。

 

きっと、フェスハイになっていたのかもしれない。連日連夜のミーティング、準備

彼らの体はとうに限界を超えていた。

 

それでも体に嘘をつき

かれらは走り続けた。

 

そしてフェス当日。

10月1日。

 

抜かりがないか最終チェックをする。

最高を超える最高を作り上げる。

皆の心は完全に一つだった。

何もかもがうまくいく、そう信じていた。

 

19時

オンラインフェスの幕が開く。

 

 

オンライン空間のドームには

大勢のお客さん。

万雷の拍手が2人を包む。

 

彼らはトークする。

いつものように、いや

いつも以上か。

 

 

 

やけに順調にトークは進む。

怖いくらいに絶好調だ。

それも2人とも。

 

 

そして最初のゲストを呼び込む

ラジオ絶対神"ZiKU"の降臨だ。

 

 

しかし、スタッフが慌てている。

インカムが聞こえてきた

 

 

 

ZiKUさん、いません

 

 

 

次回

ミッドアウトオンラインフェス2022

"RAINBOW"特別ブログ小説

『虹架人閃』

 

最終話 虹をみたかい?

 

お楽しみに。